『喜望峰からの帰還 2 〜リスボン到着の巻』


さて、のちのち殿も爽やかにお仕事に戻られ、
今日は天気もよく、無差別海賊の噂も聞かんので
自力で北上するかのう。
一港一港、丁寧に上がっていけばなんとか帰れそうじゃな。


む、伝書カモメ。


『魯の旦那、そっちへ行くからお待ちなさい。
 自分が安全な場所まで引っ張りましょう
 今、セウタあたりですよ    EXILLION 』


なんと。しかしお言葉に甘えすぎるのも漢としては情けない。
ちっとは頑張って自力で北上せんとな。
アビジャンまで警戒に警戒を重ね、猛スピードで突き進んだんじゃ。
陸に上がって出航役人の前に立ち、彼の来るのを酒を飲みつつ
待っておったら、背後から肩を叩かれた。


ぷに


振り返ると頬に刺さる無骨な人差し指。
「魯の旦那、お待たせした」
なんと、いつの間に役人の目をすり抜け、わしの背後に……。
この漢、只者ではない。しかもえらく航海速度が速い。


「ダイヤの買い付けをしますからご一緒に」
食材の買い込みしかしたことがないので、
なんだかよく分からんが面白そうなのでついていったんじゃ。


ピカーンピカーン


…交易店のオヤジと火花散る猛交渉を始めるEXILLION殿
「ほら、魯の旦那も買って買って」
彼のコネクションでわしもダイヤを沢山買えてしもうたわい。
「北へ持ち帰って売るんですよ。相場はこのくらいですからね」
と、利益の上げ方まで指導いただいたんじゃ。
これまで宝石店へ入ったことがないので大変参考になる。


こうして彼に、見慣れた街リスボンまで送ってもらうと
子分どもは歓喜に咽んでおったよ。
そして彼も爽やかに去っていった。
「今度、船作らせてね」との言葉を残して。


…実は、既に今、新しい船が欲しいと思っとるんじゃ。


船倉が大きくて、速くて、沈まなくて、硬くて、揺れなくて、
格好良くて、わしのレベルで乗れる船。


「親分〜、レベル上げないとその条件はきついっすよ〜」


うーむ、なんのレベル上げようかのう……。