『酒を飲んでいたわけではないの巻』


あの日から「酒造り減量」という一石二鳥を思いつき
日々山野を駆け巡っておるのじゃ。
酒を造るのに必要な技術、それは工芸。
草だの丸太だのを拾い、工芸の技術をあげようと目論んでおるのよ。


「船長、質問でやんす」


なんじゃ?


「木材を作っているように見えるでがす」


木材を作っておるからのう。


「……酒と何の関係があるでやんすか?」


わしにもよく分からんが、工芸を極めるためには
丸太を割るところからコツコツとらしいんじゃな。


「……なんで黒い石とか油も拾ってるでやんすか?」


草が欲しいんじゃが、中々これといった草が見つからんのじゃ……。
草はどこでも取れると聞いたんじゃがのう……。草…草…。


「あんまり草が取れなくて船長がおかしくなったでやんす!」
「どうした?」
「ただの石を拾ってはガッツポーズしてるでやんす……」


ずーっと下向いて探し物をしとると腰が痛いのう…
あ、石発見。そーおれー。


「新米、そろそろこの船の流儀に慣れろ。
 あれは石を投げて減量運動をしているだけだ」
「まあ、そう言ってやるな。ありゃ船の流儀というより」
「うちの船長の流儀だな」
「うむ」
「慣れてしまった俺らもどうかと思う」
「うーむ(悩」


草が見つからんのう……。
海草という名の草でデッキブラシを作っては駄目かのう。
干してブラシに加工すれば、船を磨く時に海草にもどって、
拭き掃除がはかどるかもしれんのじゃがのう。
いざという時は食料にもなりそうじゃし。


あ、また重いだけで使えん石を発見。そーおれー。