『酒場のお嬢さん方とわしの巻』


フライデー君も随分わしの船に慣れたようで
子分を振り回しつつ、時に奇声を発して頑張っとるわい。


それを横目で眺めつつ、酒を飲み飲み……、
正確に言うと、むさい子分を片目で監視しつつ
酒を飲み飲み飲み飲みしていると、
思い出すのは酒場の妖艶なお嬢さん方じゃな。


基本的にわしは欧州での修行中、お嬢さん方に目もくれず
料理修業をしとったわけじゃが、
たまのお使いへ出かけ、請け負った国に引き返さずに
任務官僚の報告をして他の依頼を受けるためには、
酒場のお嬢さん方と仲良くならねばならんでの。
なぜならこの世界は『酒場のお姉ちゃん情報網』という光よりも速く
正確無比かつ縦横無尽なネットワークが発達しておっての。


お嬢さんに付け届けをして依頼の報告をすると、
どこからともなく報酬の金だの発注書だのが現れて話が早いんじゃ。
じゃが、請け負った依頼が込入ったものであるほど
付け届けもそれなりの物でなくてはならんのじゃ。
まっこと、シラクサの役人といい、議長といい、お嬢さん方といい、
浮世の渡り方をしっかり教えてくれるもんじゃな。


わし、なーんも考えず、お嬢さん方へのプレゼントは
素敵なブツでなければいかんと、ハンカチだのブローチだの
宝石細工だの銀細工だの手鏡だの置時計だのをバザールで見かけては
とり置いて、いざというときに渡しておったのじゃが、
ある日、あれはMANZANAミ☆さんか、ジュリア・ルーナさんに
「ペチコートでいいんですよ☆」と。


ペチコート……婦女子の下着じゃしのう……。
わしが買うのはさすがに抵抗あるわい。


というわけで、相変わらずバザールで適当なものを見繕っとったら、
SSのようなことを各地の酒場のお嬢さん方に言われるようになったんじゃな。


ちょっともてもてじゃな。