『航海は中々に難しいの巻』


新港はケープほどではないが中々に遠いようで、
どれほどの糧食を持っていけば分からんかったわしは、
いつものように水だけ大量に積み込むのであった。


喜望峰行きより酷い減量にはならないっすよね」
「や、野郎ども、命がけで魚を釣って保存するでやんす」
「そんなに危険でやんすか? 親分は楽観的でがすよ?」
「他の人の倍以上ある体積が何で出来てると思ってるんだ。
 お前、さては新顔だな?」


後ろで何か言い争っとる声がするがなんじゃろうかのう。
わしの魅惑のがっちり体型は無論100%筋肉じゃよ。


わしが皆さんと楽しく有用なお話をしとる間に
子分は必死で魚を釣り、保存しとったので、
実に短く感じる旅程であった。・・・自力航海は恐ろしくて無理そうじゃが。
何が恐ろしいって、滝殿の保存技術なしというお言葉より怖いものはなかったの。
雇用条件の良い船に移るか考えておったらしき数名の子分が
どの船でも待遇はさして変わらんと思いとどまった模様。
ショックを受けておられたアクセル殿のところは
子分待遇が良さそうじゃと思ったが内緒じゃ。


船員は生かさず殺さず。


一人も欠けることなくベンガジ、ベンゲラに到着!


・・・滝提督の船が先導してくださり、子分どもが魚を釣り、
わしは船室で船長の皆さんとお話しとったので、
ここがアフリカのどの辺りなのか今ひとつ・・・・・・。
いや! 北欧よりは南でケープよりは西。それは確実じゃ!


(続く)