『そんなこんなでの巻〜2〜』


副官になってくれるインテリ君を探しに各港を廻っていたのじゃが、
今一つぴんと来るものがのうてな。
出立の時も近いし、どうしたもんかのと思っておったら、


「あのう……すみません……こちらが魯智深様のお船でしょうか〜」


なんじゃなんじゃ? 
シスター服を着ておられるが、お嬢さん、何かわしに御用かの?


「ホルフィーナと申します〜。なんでも副官をお探しとか〜。
 わたくし、軍医の資格を持っておりますがいかがでしょうか〜」


ほほう…軍医・・・これから先の航海で必要になりそうな知識じゃの。


「別の船で働いておりましたが、そちらの船長様から
『君は魯の旦那の船向きだ。是非彼の元に行きたまえ』と〜」


ほうほう、わしを知ってる方からのご推薦か。
それは身元もしっかりしとるし心強いのう。


……ふむ。君、採用(即決)


子分どもの士気高揚にも役立ちそうじゃしのぅ。


「ありがとうございますぅ。一生懸命頑張りますね」


〜出港後〜


で、Dr.ホルフィーナ、君は何が得意なんじゃ?


「よく分かりません〜」


……別の船で働いとったそうじゃが何をしとったのかの?(やや不安)


「勤務初日の夕方に魯船長の船を紹介されましたの〜」


……。えーと…それは…。


あ、伝書カモメ。


『旦那、副官をご希望だそうで。
 私の船にいた彼女を推薦しますw
 鍛え直してやってください。 E 』


…………………。


えーと、……ちっとばかり動揺しとるんじゃが、わし。
彼女の言葉とE氏の言葉を合わせるに、
いわゆる、その、お払いば(略)というか厄介ばら(略)では……。


「魯船長様は長旅をなさるから、その旅から戻ってきて
 使い物になりそうなら再雇用を検討するにやぶさかでなくもない、と。
 とにかく魯船長様は大事な友で、至急副官を探しておられる。
 行ってみるのもきっと神の思し召し、と……わたくしもそう思いましたの」


えーと。わし、多分欧州には二度と戻らな(略)
つまりそのなんじゃ……なんだか春の雨が目に沁みるわい……。
うむ。わしの船で鍛えて彼の船にいつか戻してやろう。


ホルフィーナ君。


「なんでしょう、船長様」


今日から君の名前はフライデーじゃ。






*フライデーの命名法に関してはまた後日。

『そんなこんなでの巻』


羊や牛を捌きに捌き、乳搾りに励みに励み、
師匠から頂いたハーブソルトをせっせと使い、
我国の議長に投資という名の賄賂を贈りまくって
新たなレシピを貰い、頂き物のレシピを引っ張り出し、
ピザ・ムサカ・グラタン・ケバブ作成まで
ようやくたどり着いたわい。


なんと言うか、感慨深いものがあるの・・・・・・。
よろよろとアムステルダム―ヘルデル5日航海から再起して
数ヶ月で調理レベルが6段階、貯蓄は3倍、
交易レベルは戦闘レベルを遥かに追い越し9段階あがり、
副官君を招ける処までたどり着いたし、
爵位も3つあがっとる。


うむ、そろそろ新しい旅に出る時期が来たようじゃな・・・。
そこで料理人をしつつ腕力を奮ってくるかのう。


急なことじゃが、うっかり海の旅団とやらに話しかけたら戦闘
が始まっての。
羊とバターと塩にまみれて砲弾も碌に積んでおらんのに
白兵戦にもつれ込んだ時の子分どもの活き活きした顔がのぅ・・・。
何もせん海の旅団を尻目にあっさり勝ってしもうてのう。
やはり戦いこそ己が定めかと思ってしもうてのう。
遠い東の方でわしを呼ぶ声がするんじゃな。


フレの皆様との別れは辛いが行こう。
長い長い旅路になるから副官君を雇わねばならんな。
明日にでも港巡りをして良い副官君を探すとするか。





☆急な話になりますが、3/15に魯智深は引退します。
 詳細や書ききれなかった話は後日こちらに書きたいと思っています。
 

『完成!!!の巻』


見よ! 長年の悲願! 『酒』が完成じゃ!!!(ワーワーパチパチパチ!!


「これで酒が飲み放題に(感涙」
「もう陸に行かなくて済む……(滂沱」


これで長いことケーキにしか使っておらんで
邪魔だったものの、つい買えるだけ買ってしまう大量の穀物
あっという間に美味しい酒になるんじゃ!
幾らでも麦を買い付けたい気分じゃ!
ビールもワインもウオッカアクアビットもなんでもこいじゃ!


「おやびーん」


なんじゃ?


「その造った酒はどこに?」


売った。


「!!!!!!!!」


もう少し商売の方面で名前が売れると副官君という
インテリエリートがわしの船に乗ってくれるんじゃと。
酒は特産品としてあちこちの港で喜んで買うて貰えるんじゃ。
お前らには今までどおり酒場で飲ませてやるから文句あるまい?


「航海中にも飲めるようになったと思ったでやんす(落涙」
「水切れ以外でも酒を楽しめると〜(悲涙」
「月見船酒の野望が〜(号泣」


どんなエリートインテリ君が乗ってくれるのかのう。
右腕としてわしの弱点を補ってくれるとええな。
……ミケさんのようなミステリアスインテリでは困るがのう。
首を傾げつつ言う事を聞いてしまいそうでの。

『子分、推理するの巻』


「船長のテントにこんなものがあったぞ」


・誰でも出来る船大工入門
・簡単! 陸戦用小道具 
・家庭の医学調合実録 


「どう見ても買ったばかりの新品だな」
「なぜ3冊も工芸本を」
「冊数より統一感に欠けているのが怖いでやんす」
「わっしが覚えている限りでは一昨日の晩、
 船の中で船大工入門を読んでいたでやんす。
 海で拾った丸太を木材にしてやした」
「『丸太は海では中々拾えない』とぼやいていたな」
「それで昨日の晩、内陸に入ったのか…」


「昨日の昼頃、道具屋で陸戦本を買ってやしたよ」
プリマスの近くの丘で『草が見つからん』とぼやいてたな」
「だから滅多やたらと街もないのに上陸してたのか」


「で、今朝一番に医学調合本を買ってきたわけか」
「工芸本コーナーで目に付いた入門書を片端から買っているようだな」
「道具屋の親仁に手玉に取られてるんじゃ」
「ま、まあ、草が見つかって大喜びしてるでやんすし」
「よりによって街の傍でな…」


「ま、まあ、楽しそうになんか作ってるでやんすし」
「デッキブラシをテントから溢れるほどにな……」
「新米、船に戻ったらお前が使って使って使い切れ」
「殺生でやんすよー」


緑の薬が出来たんじゃ! 誰か試飲してみんか?


「俺、船長特製ブラシを船に運んできやすね!」
「俺は木材を運びやすいように纏めてきます!」
「新米! お前そういや腹が痛いとか言ってたよな!」
「そうそう、丁度良かったじゃないか。新米だから
 慣れない海生活で疲れてるんよ。頂戴しとけ! じゃな!」
「え? え?」


ほほう。ではお前にやろう。草を贅沢に20も使ったんじゃぞ。ほれ。


「いえ、その」


本によると力がみなぎってくるらしいぞ。(ずい


「あの、その」


切り傷・刺し傷・打ち身・捻挫・止血、なんにでも効くんじゃと(ずずい


「親分、早く酒を作れるようにならんかなぁ」
「もう海に帰りてぇよなぁ」
「お、新米が来た」
「あいつには気の毒したが、これも新米の役目だ」


「……ちょっと不敵な面構えになってないか?」
「うむ、中堅の顔になったな……」